
COLUMN
調光フィルムSILF(シルフ)のコラム記事です。
正興電機製作所の製造する調光フィルムSILFが、日産自動車が販売する救急車「パラメディック」の電子シェードとして採用されました。
調光フィルムが救急車に採用されるに至った経緯と、そこから見えるSILFの有効性について解説します。
1991年(平成3年)に救急救命士法が制定されました。
それまでの「搬送をするための救急車」とは異なり、救急救命士の資格を持っている救急隊員が救急車の中で特定の処置ができるよう救急車の標準的な仕様(=命を救うための処置ができる救急車)が定められました。この標準的な仕様に基づき、特定の処置ができるようにつくられた救急車を当時は高規格救急車と呼びましたが、現在はその区分が無くなり救急車全体の96%が高規格救急車です。(総務省消防庁平成30年版消防白書より)救急車で行う救急業務が高度化していることを表しています。
救急出動件数は年々増え続けています。また、現場到着までの所要時間と病院収容までの所要時間のどちらも年々延伸傾向にあります。
これにより、救急車が消防署に戻り再度出動するまでの時間が非常に短くなってきています。
次の出動に備えて、効率的に確実に準備をする必要性が以前にも増して高まっています。
これまでの救急車の大半は、後部に布カーテンを装備しています。救急車は社内照明が点いたまま走行するため、特に夜間は車外から見られやすくなります。
傷病者や同行家族のプライバシーを守るためにカーテンを閉める場合と、隊員が車内から周囲の状況を確認できるようにする安全確保でカーテンを開ける場合があります。
布カーテンの交換は定期的に行われますが、次の出動に向けて準備を整える時間は年々短くなる中、医療スタッフの負担を減らす装備が求められるようになりました。
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伝統的なシェードである布カーテンは導入の費用が安価である一方、血液・薬品が付着した場合に清掃しにくい、匂いが残る、といったことがありました。
カーテンを開ける際は布を寄せて端に留めるため、患者室内に多くある各種医療資器材と干渉しないよう動かします。
電子シェードは布カーテンと比較して導入のコストがかかりますが、スイッチのON/OFFでガラスの透過/遮蔽を一瞬で切り替えます。動作はスイッチ一つです。
拭き清掃で衛生的に維持することが可能で、交換の必要はありません。
電子シェード「SILF」は車載用のブラインドフィルムとして新たに製品設計しました。
救急車に向けて、さまざまな信頼性試験を行いました。
救急車の出動後は薬剤やオゾンを使用した拭き掃除が毎回行われます。SILFはこの清掃方法に問題なく耐えられることを試験により確認しました。これにより、布カーテンのメンテナンスにかけていた手間と時間を軽減することができました。
感染症対策の強化と、清掃作業の効率化の両立を可能にしました。
フィルムが白濁/遮蔽モードでは傷病者のプライバシーを守ります。車内照明がついたまま移動するため、特に夜間は視線コントロールが必要です。
搬送途中で応急措置を行うこともあり、電子シェードの操作はスィッチ一つで外からの視線を遮ります。
フィルムが透明/透過モードでは、隊員が車内から外の様子確認を行います。
隊員の出動時、現場到着時、走行中、病院到着時など、周囲確認のタイミングは多くあります。
このように相反するシーンの切り替えを必要とする救急車に調光フィルムは適しています。
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救急車の後部(バックドアガラス・左サイドクォーターガラス・左サイドガラス・左スライドドアガラス前側・後側)のそれぞれ上部1/2に電子シェードは装着されています。
電子シェードは配線を伴うフィルムですが、難易度の高いスライドドアガラスへの取り付けも実現しました。スライドドアが開く横の動きに追従します。
貼るタイプのSILFはカットが可能であり、形状に合わせた設置が可能です。
窓の寸法に関する詳細データを入手し、救急車の製造過程のどこで組み込むかを検討しました。車種それぞれが持つ車体のカーブは特徴が異なります。ガラスのカーブに調光フィルムを合わせて搭載が実現しました。
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技術の向上によって今後は電子シェードが車両のスタンダード装備になる可能性があります。
ここからは、救急車以外の車両への電子シェードの搭載事例について説明します。
電子シェードSILFは、日産セレナ(C27)全グレードに装着が可能です。新車だけでなく、購入後の使用過程車へ後付けも可能です。
これまで、車両のプライバシー保護の手段としてはスモークフィルムがありました。しかし、屋内・車内が暗くなったり、完全に遮蔽できなかったりするという欠点がありました。
電子シェードは、電源のオンオフを切り替えれば、遮蔽も透過も、より自由自在に扱えます。また、スライドドアへの設置も可能で、窓の上げ下ろしに伴う擦過耐久試験もクリアしています。
リモートワーク、オートキャンプ、車中泊、着替え、授乳、休憩、食事など車に求めるさまざまなシーンで、電子シェードはプライバシー空間を一瞬でつくる事ができます。
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オプションパーツとして公式にメーカー設計されていなくとも、個人所有車に電子シェードの導入が可能です。
例えば、高級外車の運転席と後部座席を隔てる間仕切りに電子シェードを納入した実績があります。
通常こうした仕切りのプラスティック板は透明で、視線コントロールの為にカーテンを併用しているケースが多く見られます。
電子シェードを活用すれば、後部座席のプライバシー性を確保した上で、透明と白濁を切り替えることで、閉塞感を軽減し明るい車内が実現できます。
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日本は2035年までに乗用車の新車販売における電気自動車比率を100%とする目標を掲げています。高度な自動運転技術の普及がまもなく本格化し、車内の過ごし方に大きな変化が起きると予想されています。
自動運転の高度化により、これまでは出来なかったことが実現できるモビリティの開発が見込まれます。
電子シェードは、モビリティの可能性を広げる素材です。
試作・開発のご検討は、正興電機製作所までお問い合わせください。
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